ソーシャルレンディングの中には、海外に投資できる案件もあります。
「ソーシャルレンディングの海外の案件にはどんな特徴があるの?」
「海外の案件で気をつけなきゃいけないことって何?」
と感じている方もいると思います。また、海外のソーシャルレンディングサービスについて知りたい方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事ではファイナンシャルプランナー&ソーシャルレンディング投資家の私がソーシャルレンディングの海外の案件と海外のサービスについて詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
ソーシャルレンディングの海外案件には以下のようなメリットがあるよ。
- 利回りが高め
- 分散投資になる
- 融資対象が豊富
- 為替差益が狙える場合がある
でも、海外案件には以下のようなリスクもあるよ。
- 為替リスク
- カントリーリスク
- 日本の常識では考えにくいリスク
ところで、日本だけでなく、海外にもソーシャルレンディング事業者があるって本当ですか?
ソーシャルレンディングはアメリカ、イギリス、中国など海外でも広く行われているんだ!
SL投資法典はソーシャルレンディング投資家&ファイナンシャル・プランナーのわさが運営するソーシャルレンディング総合サイトです。
「初心者にソーシャルレンディング投資で後悔してほしくない」という思いから、わかりやすく正確な情報発信を心がけています。
国内のソーシャルレンディング事業者の海外案件
国内のソーシャルレンディング事業者が募集している案件の中には海外の企業などに融資を行う案件もあります。そのような案件には国内案件と違う部分がいくつかあります。それぞれ見ていきましょう。
仕組み
海外案件は上のような仕組みで運営されていることが多いです。具体的には、投資家から集めたお金をソーシャルレンディング事業者が海外の関連会社に貸付を行い、そこから海外の融資先に融資を行います。
そして、為替ヘッジをする場合には外為事業者を使うことが多いでしょう。為替ヘッジについては下で解説します。
メリット
海外案件には以下のようなメリットがあります。
- 利回りが高め
- 分散投資になる
- 融資対象が豊富
- 為替差益が狙える場合がある
それぞれ見ていきましょう。
利回りが高め
海外案件は国内案件と比べて利回りが高いことが多いです。その理由は主に2つあります。
まず、日本は現在マイナス金利であり、全体的に利率が低めになっています。しかし、海外、特に新興国や発展途上国などでは日本よりもずっと金利が高くなっていることが多いです。
また、日本では利息制限法という法律によって貸出金利の上限が定められています。具体的には、貸し出し金額が100万円以上の場合には15%が金利の上限になっています。
しかし、海外では利息を制限する法律がなかったり、日本よりも利息の上限が高かったりすることが少なくありません。そのため、利回りが高めの案件が多くなっています。
分散投資になる
ソーシャルレンディング投資に限らず、日本で投資を行っていると投資対象を国内の投資対象に集中させがちです。投資対象を日本に集中させていると日本が不況になった時や日本で何かあった時に大きなリスクを負うことになります。
一方、海外案件にも投資を行っていると分散効果が得られ、リスクを軽減することができます。
融資対象が豊富
国内案件には事業生資金、不動産、エネルギーなどの種類がありますが、海外案件ではこれらの種類に加えて、日本ではなかなかないような種類の案件に投資できる場合があります。
また、海外案件では日本にはあまりない個人向けの融資を行っている場合もあります。
為替差益が狙える場合がある
海外案件の場合、融資は日本円ではなく現地の通貨で行う必要があるため、貸し出す時とお金が返ってくる時には両替をする必要があります。そして、貸し出す時よりもお金が返ってくる時のほうが円安になっていた場合、為替差益と呼ばれる利益を得ることができます。
たとえば、利回りが10%のアメリカの海外案件に100万円を投資するとして、貸し出す時の為替が1ドル100円だったとします。すると、貸し出す金額は1万ドルになります。利回りが10%なので、投資家に返ってくる金額は11000ドルになります。
お金が返ってくる時の為替が1ドル110円だったとします。日本円に変換すると、返ってくる金額は121万円になります。本来の利回りは10%のはずが、21%になっているのがわかります。
リスク
海外案件には以下のようなリスクもあります。
- 為替リスク
- カントリーリスク
- 日本の常識では考えにくいリスク
それぞれ見ていきましょう。
為替リスク
海外案件の場合、融資は日本円ではなく現地の通貨で行う必要があるため、貸し出す時とお金が返ってくる時には両替をする必要があります。
貸し出す時の為替とお金が返ってくる時の為替が異なっていた場合、利益が減ってしまったりする可能性があります。
たとえば、1ドル100円のときに100万円をドル建て年利10%で1年間貸し出したとします。すると、1年後には1万1000ドルが返ってきます。まず、為替の変動がなく1ドル100円のままだった場合には、110万円を受け取ることができます。
しかし、1ドル95円の円高になってしまうと受け取れるのは104万5000円です。この場合、1ドル100円のままだったら受け取れた10万円の利息が半分以下になってしまっています。
カントリーリスク
カントリーリスクとは投資した国や地域で政治や経済に変化が起こって貸し倒れなどが多発するリスクのことです。たとえば、投資した国で大不況が起こってしまった場合、借り手の企業が倒産して貸し倒れが起こってしまうかもしれません。
なお、カントリーリスクは一般的に欧米などの先進国より新興国や発展途上国のほうが高いと言われています。
ちなみに、カントリーリスクを正確に評価するのは難しいですが、株式会社日本貿易保険が発表している「国・地域ごとの引受方針」はカントリーリスクの目安として参考になります。
株式会社日本貿易保険が発表している「国・地域ごとの引受方針」はコチラからご確認ください。
日本の常識では考えにくいリスク
海外では文化や法律が日本と異なるため、日本では考えられないようなことが起こるリスクがあります。
たとえば、あるソーシャルレンディング事業者の海外案件では融資先の企業が担保設定されていた商品を持ち出して夜逃げしてしまいまい、元本のほとんどが失われる事態になりました。
為替ヘッジ
為替ヘッジは為替変動により損失が発生したりするリスクを防ぐためのシステムです。株価ヘッジを用いると「案件終了時に同じ条件で両替する権利」を手に入れることができるのです。
たとえば、アメリカの案件で、貸し出す時の為替が1ドル100円だった場合、為替ヘッジを用いればお金が返った時に1ドル90円だったとしても、1ドルあたり100円で両替してもらえるのです。
ただ、為替ヘッジを行うためには手数料が必要であり、その分利回りは下がってしまいます。手数料は為替ヘッジを扱っている事業者によって異なりますが、相場は運用金額の1%程度です。
また、為替ヘッジも万能ではなく、担保を換金する時に用いることはできません。そのため、借り手企業が返済できなくなってしまい、担保を換金した場合には、為替リスクにより十分なお金を回収できない可能性があります。
ソーシャルレンディング海外事情
ソーシャルレンディングは日本だけではなく、海外でも盛んに行われているサービスです。今回はソーシャルレンディングが特に発展しているアメリカ、イギリス、中国のソーシャルレンディング事情についてまとめていきたいと思います。
アメリカ
アメリカでは、日本では成功しなかった個人にお金を貸す形でソーシャルレンディングが大きく成長しています。
アメリカのソーシャルレンディングは2006年にProsperという事業者がスタートさせました。その後すぐにLending Clubもサービスを開始しています。
ソーシャルレンディングサービスが始まった直後は借り手審査が甘かったこともあり、貸し倒れ率は高めでした。この状況はしばらく続くことになります。
2007~2008年のリーマンショック以降は銀行が融資に対して従来よりも慎重になったため、銀行から融資を受けられない人が増えました。そのため、ソーシャルレンディングからお金を借りる人は増加することになりました。
この頃にはソーシャルレンディングの貸し倒れ率の高さはさらに深刻になっていたため、審査が強化されました。
そして、現在ではニューヨーク市場に上場もしているLending Clubが最大手になり、Prosperは業界2位になっています。
アメリカのソーシャルレンディングの成長力はめざましく、2020年には南北アメリカで全世界のソーシャルレンディングの約45%のシェアを占めるのではないかと予想されています。
イギリス
イギリスでは2005年にZopaがソーシャルレンディングをはじめました。ちなみに、撤退してしまいましたが、Zopaは一時期日本でもソーシャルレンディングサービスを展開していました。
イギリスでは政府もソーシャルレンディング業界に高い関心を持っています。その証拠に、イギリス政府は2012年にソーシャルレンディングを通じて企業に融資を行いました。
また、イギリス政府はソーシャルレンディングによる利益をISAの対象にしています。ISAは一定金額までの投資なら、税金がかからないという制度です。
ちなみに、イギリスのソーシャルレンディング事業者トップ3はZopa、RateSetter、Funding Circleです。
中国
中国では日本と同じように、企業にお金を貸す形で、ソーシャルレンディングが成長しています。中国は共産主義国家で銀行の融資には厳しい規制が敷かれています。そのため、日本よりも銀行からお金を借りることができない企業は多くあります。
ソーシャルレンディングがそのような企業の受け皿になっているのです。
そんな中国のソーシャルレンディング市場は大きいですが、詐欺まがいのことを行って閉鎖に追い込まれる事業者も多く、問題も多くあります。
まとめ
ソーシャルレンディングでは海外案件に投資することもできます。海外案件には国内案件とは違った特徴がたくさんあります。まず、海外案件のメリットは以下のとおりです。
- 利回りが高め
- 分散投資になる
- 融資対象が豊富
- 為替差益が狙える場合がある
また、海外案件のリスクは以下のとおりです。
- 為替リスク
- カントリーリスク
- 日本の常識では考えにくいリスク
そして、日本だけではなく、ソーシャルレンディングはアメリカ、イギリス、中国など海外でも広く行われています。
24の数値化可能な指標を用いてソーシャルレンディング38事業者のランキングを作成しました。
順位 | 事業者名 | 公式 | 利回り | 信頼性 | 投資しやすさ |
---|---|---|---|---|---|
1位 | クラウドバンク | 6.99% | |||
2位 | SBIソーシャルレンディング | 3.82% | |||
3位 | SAMURAI FUND | 7.30% | |||
4位 | オーナーズブック | 4.76% | |||
5位 | クラウドクレジット | 8.91% |