ソーシャルレンディングと銀行はよく比較されるサービスです。なぜなら、ソーシャルレンディングも銀行も企業に融資を行っているからです。
「ソーシャルレンディングと銀行って何が違うの?」
と感じている方もいると思います。そこで、この記事ではファイナンシャルプランナー&ソーシャルレンディング投資家の私がソーシャルレンディングと銀行の違いと共通点について詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
でもほかに共通している点はあまりないかな。以下が主な違う点だよ。
- 関係する法律
- ビジネスモデル
- 規模
- 金利
- 融資対象
- お金の集め方
- 企業からお金を集めるかどうか
- リスクを負担する人
- 審査の厳しさ
- 返済方法
SL投資法典はソーシャルレンディング投資家&ファイナンシャル・プランナーのわさが運営するソーシャルレンディング総合サイトです。
「初心者にソーシャルレンディング投資で後悔してほしくない」という思いから、わかりやすく正確な情報発信を心がけています。
Contents
ソーシャルレンディングとは?
ソーシャルレンディングとは、お金を運用したい個人とお金が必要な企業を結びつけるサービスです。ソーシャルレンディングでは、個人投資家が簡単にお金を貸しつけることができるのです。
具体的には、ソーシャルレンディング事業者が個人投資家からお金を集め、お金を借りたい企業に貸しつけを行います。そして、企業が返済を行ったらソーシャルレンディング事業者は個人投資家に元本と利息を返還します。
ソーシャルレンディングはIT技術の発展により生まれた、新しい「お金の貸し方」と言えるでしょう。なお、ソーシャルレンディングの概要については以下の記事で詳しく解説しています。

銀行とは?
銀行は個人や企業から預金という形でお金を預けてもらい、それを元手にして個人や企業に対してお金を貸しています。預金は元本保証なので、貸した個人や企業からお金が戻ってこなくても預金が減ることはありません。
そして、みなさんもご存知の通り、預金はいつでも自由に引き出すことができます。また、銀行ではさまざまな料金の支払いや受け取りも行うことができます。
投資商品や保険の販売を行っている銀行も多くあります。
ソーシャルレンディングと銀行の共通点
ソーシャルレンディングと銀行には企業にお金を貸しているという共通点があります。しかし、ソーシャルレンディングと銀行で共通している部分はそのくらいで、ソーシャルレンディングと銀行は以外と似ている部分が少ないサービスです。
ソーシャルレンディングと銀行の10の違い
ソーシャルレンディングと銀行には以下のような違う点があります。
- 関係する法律
- ビジネスモデル
- 規模
- 金利
- 融資対象
- お金の集め方
- 企業からお金を集めるかどうか
- リスクを負担する人
- 審査の厳しさ
- 返済方法
それぞれ見ていきましょう。
①関係する法律
ソーシャルレンディング | 貸金業法・金融商品取引法 |
---|---|
銀行 | 銀行法 |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングに関係している主な法律は貸金業法と金融商品取引法です。
このうち貸金業法(かしきんぎょうほう)は事業としてお金を貸す企業を規制している法律です。
そして、貸金業法では、事業としてお金を貸す場合には、貸金業者として登録を受ける必要があることが定められています。
もし無登録で貸金業を行ってしまうと、懲役10年以下もしくは罰金3000万円以下の罰金が与えられてしまいます。
そして、ソーシャルレンディングではもちろん、借り手企業にお金を貸しているため、貸金業者として登録を受ける必要があります。
なお、貸金業者として登録を受けるためにはさまざまな条件をクリアする必要があり、登録は3年に1回更新する必要があります。
また、金融商品取引法とは、株、FXなど金融商品を扱う企業を規制する法律です。事業としてお金を集めて運用する企業を規制している法律だと考えるとわかりやすいでしょう。ソーシャルレンディングも金融商品のひとつです。
そして、お金を集めて運用するためには金融商品取引業者として登録を受ける必要があります。
そして、ソーシャルレンディング事業者は第二種金融取引業の登録を受ける必要があります。もし登録を受けずに業務を行ってしまうと、3年以下の懲役か300万円以下の罰金のどちらかもしくは両方が科されてしまいます。
ちなみに、第二種金融取引業者として登録を受けるのは貸金業者として登録を受けるよりも難しいと言われています。
第二種金融取引業の登録を受けるためには1000万円以上の資本金が必要であり、業務内容にみあった経験や能力がある人を2人以上配置する必要があるからです。
そして、ソーシャルレンディングのすべての事業者は第二種金融取引業の登録を受けていますが、クラウドバンクのように、第一種金融取引業者と第二種金融取引業者の両方の登録を受けている事業者もあります。
銀行
銀行は銀行法で規制されています。銀行法は銀行について定めた法律です。銀行法は銀行業務を健全・適切に行わせるためにあります。
②ビジネスモデル
ソーシャルレンディング | ソーシャルレンディング事業者がネットを通じて投資家からお金を集め、そのお金を使って人や企業にお金を貸す |
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銀行 | 預金の形で個人や企業からお金を預けてもらい、それを使って個人や企業にお金を貸す |
ソーシャルレンディング
先ほども解説したとおり、ソーシャルレンディングはネットを通じて投資家からお金を集め、そのお金を使って企業などにお金を貸します。
もちろん利息をつけて貸すので、返ってきた利息がソーシャルレンディング事業者や投資家の利益になります。
銀行
銀行は個人や企業から預金の形でお金を預けてもらい、それを使って個人や企業にお金を貸します。銀行が貸す時にも利息はつくので、返ってきた利息が銀行や預金者の利益になります。
③規模
ソーシャルレンディング | 小さい |
---|---|
銀行 | 大きい |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディング事業者は銀行と比べるとずっと規模の小さい会社です。最大手のmaneoでも売上は数十億円程度です。
ソーシャルレンディング業界はまだまだ成長途上であり、未熟な業界と言えるでしょう。
銀行
銀行はソーシャルレンディングとは桁違いに規模の大きな業界です。銀行業界の中堅企業でも1000億円程度の売上高があります。そして、みずほ、三井住友などのいわゆるメガバンクともなると売上は数兆円になります。
④金利
ソーシャルレンディング | 高い |
---|---|
銀行 | 低い |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングで投資家に支払われる利回りは銀行預金よりもはるかに高くなっています。具体的には、利回りは5~10%程度が多く、平均は7%程度です。
ちなみに、ソーシャルレンディング事業者は投資家への利回りと企業に貸し出す時の金利に差をつけることで利益を得ています。そのため、ソーシャルレンディング事業者が企業にお金を貸す時の金利は投資家への利回りより高くなっています。
具体的には、企業へ融資する時の金利は5~15%程度になっています。金利は借り手企業の返済能力によって変わります。
銀行
みなさんもご存知の通り、2019年現在、銀行預金の金利はとても低くなっています。たとえば。みずほ銀行の場合、普通預金の金利は0.01%になっています。
そして、銀行が企業に融資する時の金利は2~4%程度になっています。ソーシャルレンディング事業者の金利よりも低くなっているのがわかります。
⑤融資対象
ソーシャルレンディング | 小口の中小企業が多い |
---|---|
銀行 | 大口の大企業が多い |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングの融資対象は大まかに言うと、「銀行から融資を受けられなかった企業」ということになります。人はできるだけ低い金利でお金を借りようとし、ソーシャルレンディング事業者より銀行のほうが借りる時の金利が低いからです。
このような事情から、ソーシャルレンディングの融資対象は創業してからまだ時間が短かったり、規模が小さかったりする企業ということになります。
また、短期間だけすぐに借りたいという企業や少額だけ融資を受けたいという企業はソーシャルレンディング事業者に集まりやすい傾向にあります。
銀行
銀行が好む融資対象は信用力が高くて財政基盤がしっかりした、長期間多額の融資を受けたい企業です。
銀行がこのような企業を好むのは、銀行の審査が厳しく、時間や手間やお金のかかるものだからです。銀行の借り出し金利は低いですから、効率的に利益を得るためには、融資対象を少なくして審査の回数を減らし、多額を長期間借りてもらう必要があるのです。
逆に、信用力が低い企業、少額しか借りない企業、短期間しか借りない企業などは銀行からの融資を受けにくいでしょう。
⑥お金の集め方
ソーシャルレンディング | 投資の形で個人からお金を集める |
---|---|
銀行 | 預金の形で個人や企業からお金を預けてもらう |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングでは投資という形で個人からお金を集めます。そのため元本は保証されておらず、借り手企業がお金を返せなくなってしまった時には投資家が損失を被ることになります。
そして、ソーシャルレンディングではお金を投資したら運用期間が終わるまでお金を引き出すことができません。
銀行
銀行は預金の形で個人や企業からお金を預けてもらいます。預金はもちろん元本保証が保証されているため減ってしまうことはなく、いつでも引き出すことができます。
⑦企業からお金を集めるかどうか
ソーシャルレンディング | 集めない |
---|---|
銀行 | 集める |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは個人からお金を集め、基本的に企業からお金を集めることはありません。
ただ、例外はあります。ソーシャルレンディングで多額の利益を出していると、法人化したほうが節税になることがあります。この場合は企業がソーシャルレンディング事業者にお金を投資していることになるでしょう。
銀行
銀行は預金の形で企業からもお金を集めます。企業も銀行に口座を持っているのが一般的でしょう。
銀行が多くのお金を集めることができるのは多くの企業が銀行にお金を預けていることとも関係があると思われます。
⑧リスクを負担する人
ソーシャルレンディング | 投資家 |
---|---|
銀行 | 銀行 |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディング投資のリスクは投資家が負担します。ソーシャルレンディング事業者が負担することはありません。具体的には、借り手企業が返済できなくなってしまった場合には投資家が損失を被ることになってしまいます。
このようなリスクを投資家が負担する分、ソーシャルレンディングに投資した時の利回りは銀行預金よりもずっと高くなっています。
銀行
銀行預金の場合、リスクは銀行が負担します。銀行が赤字になってしまっても、銀行預金が減ることはありません。
銀行がリスクを負担するため、銀行は審査を厳しくしてリスクの高い融資は行いません。そして、リスクがほとんどない分、銀行預金の金利はかなり低くなっています。
⑨審査の厳しさ
ソーシャルレンディング | 柔軟 |
---|---|
銀行 | 厳しい |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディング事業者の審査は銀行と比べてずっと柔軟です。
借り手の返済能力は厳しく見るものの、創業年数、企業の規模、借入金額などにとらわれないので、中小企業でも借りやすくなっています。
銀行
銀行の審査はソーシャルレンディング事業者と比べてずっと厳しいものになっています。銀行はかなりコストをかけて審査を行っており、中小企業が審査を通過するのは難しいでしょう。
特に2007~2008年のリーマンショック以降は審査がさらに厳しくなりました。
⑩返済方法
ソーシャルレンディング | 元本一括返済が多い |
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銀行 | 元利均等返済・元金均等返済 |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングにおいて返済方法は3つあります。それは元本一括返済、元利均等返済、元利均等返済の3つです。それぞれ以下のような特徴があります。
- 元本一括返済:利息は毎月、元本は最後に返ってくる
- 元利均等返済:利息も元本も毎月返ってくる
- 満期一括返済:利息も元本も最後に返ってくる
この3つの返済方法のうち、一番多いのは元本一括返済です。元本一括返済では運用期間の最後まで元本を利用することができるため、銀行から借りるより資金繰りは楽になります。
銀行
銀行において返済方法は主に2つあります。それは元利均等返済と元金均等返済です。このうち元利均等返済は毎月の返済方法が一定です。また、元金均等返済は毎月返す元本の額だけ同じで、利息ははじめのほうが多いため、月ごとに返す金額は少なくなっていきます。
どちらの返済方法でも毎月元本を返済しなければならないため、ソーシャルレンディングに比べて資金繰りは難しいでしょう。
なぜソーシャルレンディング事業者から借りたい企業がいる3つの理由
金利だけで見れば、ソーシャルレンディング事業者から借りるより銀行から借りたほうが有利です。それでもソーシャルレンディング事業者から借りたい企業がいるのには以下の3つの理由があります。
- 審査が柔軟だから
- 借り手に有利な返済方法だから
- 担保の掛け目が大きくても大丈夫だから
それぞれ見ていきましょう。
①審査が柔軟だから
いくら銀行から借りたほうが金利が低くても、借りれなければ意味がありません。特に中小企業では銀行の厳しい審査に受からないことが多いと思われます。
銀行と比べてソーシャルレンディング事業者は審査が柔軟なので、銀行から融資を断られた企業がソーシャルレンディング事業者で融資を受けることは多いでしょう。
②借り手に有利な返済方法だから
ソーシャルレンディングは銀行より金利が高いものの、毎月利息だけを返済し、元本は最後に返済すればいい、という返済方法を取っていることが多いです。
一方、銀行は毎月元本も含めて返済するという方法を取っていることが多いです。そのため、最後まで元本が利用できるソーシャルレンディングに魅力を感じる企業がいるものと思われます。
③担保の掛け目が大きくても大丈夫だから
ソーシャルレンディングでも銀行でも借り手企業から担保を取ることは多いです。担保とは、借り手が返済できなくなった場合に備えて、あらかじめ借り手から提供を受けるモノのことです。
一般的に、銀行の場合、担保の評価額の70%程度の金額までしか融資を受けられないことが多いでしょう。たとえば、担保の評価額が1000万円だった場合、借りられる金額は700万円程度まででしょう。
一方、ソーシャルレンディングでは一般的に担保の評価額の80%、多い場合には90%程度までお金を借りれることがあります。多くの金額を借りたい企業にとって、担保の掛け目が大きくても大丈夫なソーシャルレンディングは魅力的と言えるでしょう。
まとめ
ソーシャルレンディングはインターネットを介してお金を貸したい個人と借りたい企業を結びつけるサービスです。
銀行は個人や企業から預金という形でお金を預けてもらい、個人や企業にお金を貸すサービスを行っています。
この2つのサービスには「企業に対してお金を貸している」という共通点があります。しかし、その他は違う部分が多いです。以下の点が違う点と言えるでしょう。
- 関係する法律
- ビジネスモデル
- 規模
- 金利
- 融資対象
- お金の集め方
- 企業からお金を集めるかどうか
- リスクを負担する人
- 審査の厳しさ
- 返済方法
しかし、ソーシャルレンディングは銀行からの融資と比べて金利が高いのに、なぜソーシャルレンディングからお金を借りたいという企業がいるのでしょうか。その理由は以下の3つが考えられます。
- 審査が柔軟だから
- 借り手に有利な返済方法だから
- 担保の掛け目が大きくても大丈夫だから
24の数値化可能な指標を用いてソーシャルレンディング38事業者のランキングを作成しました。
順位 | 事業者名 | 公式 | 利回り | 信頼性 | 投資しやすさ |
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1位 | クラウドバンク | 6.99% | |||
2位 | SBIソーシャルレンディング | 3.82% | |||
3位 | SAMURAI FUND | 7.30% | |||
4位 | オーナーズブック | 4.76% | |||
5位 | クラウドクレジット | 8.91% |