ソーシャルレンディングと投資信託は共通点が多いため、よく比較される投資商品です。
「ソーシャルレンディングと投資信託ってどこが違ってどこが同じなの?」
このように感じている方もいるのではないでしょうか。そこで、この記事ではファイナンシャルプランナー&ソーシャルレンディング投資家の私がソーシャルレンディングと投資信託の違いと共通点について詳しく解説しています。
違いと共通点がすぐ分かる記事になっているので、ぜひご覧ください。
以下のように、ソーシャルレンディングとの共通点が多い投資商品なんだ。
- 少額から投資できる
- 簡単に投資できる
- ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
- 長期的な投資に向いてる
- 元本保証ではない
ソーシャルレンディングと投資信託の違いについても教えて下さい!
- 好きな時にお金を引き出せるかどうか
- 選択肢の数(分散投資のしやすさ)
- 税金
- 手数料
- 利回り
- 利回り変動リスク
- 売却の判断
- 事業者リスク
SL投資法典はソーシャルレンディング投資家&ファイナンシャル・プランナーのわさが運営するソーシャルレンディング総合サイトです。
「初心者にソーシャルレンディング投資で後悔してほしくない」という思いから、わかりやすく正確な情報発信を心がけています。
ソーシャルレンディングとは?
ソーシャルレンディングとは、お金を運用したい個人とお金が必要な企業を結びつけるサービスです。ソーシャルレンディングでは、個人投資家が簡単にお金を貸しつけることができるのです。
具体的には、ソーシャルレンディング事業者が個人投資家からお金を集め、お金を借りたい企業に貸しつけを行います。そして、企業が返済を行ったらソーシャルレンディング事業者は個人投資家に元本と利息を返還します。
ソーシャルレンディングはIT技術の発展により生まれた、新しい「お金の貸し方」と言えるでしょう。なお、ソーシャルレンディングの概要については以下の記事で詳しく解説しています。

投資信託とは?
投資信託とは、運用の専門家が投資家からのお金を集めて株式や債権などに投資し、運用する投資商品です。投資信託では多数の株や債権に分散して投資を行うため、投資信託を購入するだけで分散投資をすることができリスクを軽減することができます。
1万円程度の少ない金額から投資することができるのも魅力の1つです。ただ、元本は保証されていないため、運用がうまくいけば利益が得られますが、うまくいかなければ損失が出てしまいます。
ソーシャルレンディングと投資信託の8つの違い
ソーシャルレンディングと投資信託には以下のような違いあります。
- 好きな時にお金を引き出せるかどうか
- 選択肢の数(分散投資のしやすさ)
- 税金
- 手数料
- 利回り
- 利回り変動リスク
- 売却の判断
- 事業者リスク
それぞれ見ていきましょう。
違い①:好きな時にお金を引き出せるかどうか
ソーシャルレンディング | 引き出せない |
---|---|
投資信託 | 引き出せる |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングでは1度投資してしまうと、運用期間が終わってお金が戻ってくるまではお金を引き出すことができません。たとえソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けたりしてお金が戻ってくる保証がなくてもそれは同じです。
ソーシャルレンディングの運用期間は1ヶ月~36ヶ月程度までさまざまですが、運用期間が長いほどお金を引き出せないリスクは高くなります。
投資信託
投資信託では基本的にいつでも自由に解約を行うことができます。そのため、急にお金が必要になった時に対応しやすいという特徴があります。
ただ、投資信託によっては「クローズド期間」が設定されていることもあります。クローズド期間中は投資信託を解約することができないため注意が必要です。
違い②:選択肢の数(分散投資のしやすさ)
ソーシャルレンディング | 少なめ |
---|---|
投資信託 | 多め |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングはまだ歴史が浅く、投資信託に比べるとソーシャルレンディングを扱っている会社は少なめで、国内で安定的に案件を提供しているのは15社程度です。募集されている案件の数も投資信託に比べて少なめです。
そのため、投資信託に比べると分散投資はしにくいという特徴があります。ただ、ソーシャルレンディングでも十分に分散投資は可能です。
投資信託
投資信託は国内のさまざまな銀行や証券会社などで販売されていて、国内の株式、国内の債権、海外の株式や債権など種類も豊かです。
そして、投資信託はそれぞれの商品自体がさまざまな株式や債権に分散投資しているため、リスク管理をしやすいという特徴があります。
違い③:税金
ソーシャルレンディング | 不遇 |
---|---|
投資信託 | 優遇されている |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは歴史の浅い投資方法であり、税金面での整備はあまり進んでいません。投資は通常、税金面で優遇される傾向にあるのですが、ソーシャルレンディングは税金面では不遇なほうです。
具体的には、ソーシャルレンディングの投資による利益は「雑所得」という種類の所得です。雑所得は総合課税といって、他の所得と合算して課税され、所得が増えるほど税率は高くなっていきます。
そのため、所得が低いうちはいいですが、所得が多くなってくると税金を多く払わなければいけなくなります。
また、雑所得は赤字を繰り越すこともできません。例えば、ある年のソーシャルレンディングが10万円の赤字になってしまい、次の年に15万円の利益を得たとします。
すると、赤字になった年の税金はかかりませんが、次の年は15万円に対して課税されてしまいます。前年度の赤字と相殺して5万円にすることはできません。
また、ソーシャルレンディングはNISAやiDeCoなどを用いることもできません。NISAとは、簡単にいうと年120万円までの投資なら5年間税金がかからないという制度です。
また、iDeCoとは、毎月一定の金額を支払い、投資信託や定期預金などの金融商品を選んで運用すると60歳以降に運用した資産を受け取ることができるという制度です。iDeCoにも節税効果があります。
投資信託
投資信託は昔からあり、知名度も高い投資方法なので、税金面での整備が進んでおり、ソーシャルレンディングと比べて税金面で優遇されています。
まず、投資信託で得られた所得は「配当所得」という種類の所得になります。配当所得はほかの所得と合算しない分離課税で、いくら利益を出しても税率は20.315%で一律です。そのため、大きな利益が出てもたくさん税金が取られてしまうことはありません。
そして、確定申告をすれば3年間にわたり損失を繰り越すことができます。たとえば、前年が10万円の赤字で、今年が15万円の黒字だった場合、今年の利益を5万円にすることができます。
投資信託はNISAやiDeCoなどの制度を活用することもできます。
違い④:手数料
ソーシャルレンディング | かからない |
---|---|
投資信託 | かかる |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングでは基本的に手数料がかかりません。ソーシャルレンディング事業者は借り手企業に融資する時の利率と投資を募集する時の利率を変えているのですが、これがソーシャルレンディング事業者の利益になります。
たとえば、借り手企業に15%の利率で融資し、投資家への利回りが10%だった場合、ソーシャルレンディング事業者は差の5%を利益として受け取ることになります。
このような仕組みのため、通常ソーシャルレンディング事業者が投資家から直接手数料を取ることはありません。
あえて言うならソーシャルレンディング事業者によっては分配金を受け取る口座から自分の銀行口座に出金した時に数百円の手数料がかかることがありますが、この手数料もかからない事業者が多くあります。
投資信託
投資信託では複数の手数料がかかることが多いです。具体的には、以下のような手数料がかかります。
- 購入時手数料:購入する時かかる手数料
- 信託報酬:運用している時にかかる手数料
- 信託財産留保額:解約する時にかかる手数料
これらの手数料は運用によって利益が発生しておらず、損失が発生している時でもかかってしまいます。
違い⑤:利回り
ソーシャルレンディング | 5~10%程度 |
---|---|
投資信託 | 2~5%程度 |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングの利回りは平均7%程度であり、5~10%程度であることが多いです。
投資信託
投資信託の利回りは運用成績により変わりますが、2~6%程度であることが多いでしょう。
違い⑥:利回り変動リスク
ソーシャルレンディング | ない |
---|---|
投資信託 | ある |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは値動きがない投資商品です。そのため、基本的に募集された時に提示されている利回りから変化することはありません。「期待利回り」になっている場合には多少変動する場合がありますが、そこまで大きく変動しません。
貸し倒れが起こって元本が失われない限りはあらかじめ決められたとおりの金額が返ってきます。そのため、ソーシャルレンディングには収入が計算しやすいという特徴があります。
投資信託
投資信託は株という値動きがある投資商品で運用している場合が多いため、運用成績は株価や株式市場全体の状況に大きな影響を受けます。そのため、どのくらいの成績になるのか前もって予想するのは困難です。
違い⑦:売却の判断
ソーシャルレンディング | 必要ない |
---|---|
投資信託 | 必要 |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは運用期間が終われば自動的にお金が戻ってきます。そのため、いつ現金化するかについて悩む必要はありません。
投資信託
投資信託は解約するタイミングを自由に決めることができます。そのため、解約のタイミングは自分で考える必要があります。しかも、投資信託は値動きのある投資商品なので、解約のタイミングによって得られる利益が変わります。
最適な解約のタイミングを考えるためには情報収集などの手間が必要なので、ソーシャルレンディングよりも売却の判断をするのに手間がかかると言えるでしょう。
違い⑧:事業者リスク
ソーシャルレンディング | 高め |
---|---|
投資信託 | 低め |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは歴史が浅い業界なので、あまり業界全体のルールがきっちりと決まってきませんし、事業者の淘汰もあまり進んでいません。
そのため、ソーシャルレンディング業界には詐欺まがいのことをする事業者が現れることがあり、金融庁から行政処分を受ける事件が複数発生しています。そのような事件に巻き込まれてしまうと投資したお金が失われてしまいます。
また、ソーシャルレンディング事業者の中には経営基盤がしっかりしていない中小企業も多くあります。いまのところ経営状態が悪くなって倒産してしまったソーシャルレンディング事業者はありませんが、これからもそうとは限りません。
ソーシャルレンディングは投資信託に比べると事業者リスクが高い投資商品と言えるでしょう。
投資信託
もちろん投資信託にも事業者リスクはありますが、ソーシャルレンディングよりは低いでしょう。
投資信託は知名度があり歴史も長い投資商品なので事業者の淘汰が進んでおり、投資信託を扱っている会社は規模が大きめで財政基盤がしっかりしていることが多いです。
ソーシャルレンディングと投資信託の5つの共通点
ソーシャルレンディングと投資信託には以下のような共通点があります。
- 少額から投資できる
- 簡単に投資できる
- ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
- 長期的な投資に向いてる
- 元本保証ではない
それぞれ見ていきましょう。
共通点①:少額から投資できる
ソーシャルレンディングも投資信託も少額から投資できるという特徴があります。株などの代表的な投資商品では数十万円単位でしか投資できないことが多いですが、ソーシャルレンディングや投資信託では違うのです。
ソーシャルレンディングは1万円以上1000円単位で投資できる事業者が多く、Fundsなど1円単位で投資できる場合もあります。
投資信託も1万円程度から投資が始められることが多く、SBI証券や楽天証券やマネックス証券などでは100円から投資できる場合もあります。
少額から投資できると分散投資もしやすいですし、気軽に投資を始めやすいので魅力的ですよね。
共通点②:簡単に投資できる
ソーシャルレンディングも投資信託も簡単に投資することができます。
ソーシャルレンディングは初回はソーシャルレンディング事業者に口座を開設する必要がありますが、口座開設はすべてオンラインで行うことができます。そして、実際に投資する時には案件を選び、ソーシャルレンディング事業者の口座に入金して投資するだけです。
一度投資したら運用期間が終わって返ってくるまでは基本的に何もする必要がないので、かなり手間のかからない投資と言えます。
投資信託もはじめる時には口座を開設する必要があります。ただ、投資信託は銀行でも取り扱いがあるので、銀行口座を持っている銀行で始めてもいいでしょう。
投資信託もファンドを選んで投資すれば、後は基本的にほったらかしでも大丈夫です。
ソーシャルレンディングも投資信託も、株などのように金融に関する幅広い知識を身につけたり、情報収集したりする必要がないのが楽と言えるでしょう。
共通点③:ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
ソーシャルレンディングも投資信託もミドルリスク・ミドルリターンの投資商品です。そのため、元本割れが起こってしまう可能性がありますが、見返りもある程度期待できます。
ソーシャルレンディングの利回りは平均7%程度で貸し倒れが起こることは少ないですが、貸し倒れが起こった時には元本のすべてを失ってしまうこともあるのでミドルリスクと言えます。
投資信託は利回りが2~5%程度で元本のほとんどが失われてしまうことはほぼないですが、運用の結果数%の損失が出るのは珍しいことではありません。
共通点④:長期的な投資に向いてる
ソーシャルレンディングも投資信託も長期的な投資に向いてる投資商品です。
どちらも1年あたりに得られる利益は数%なので短期的に大きく元本を増やすことはできませんが、長期的に投資していくと複利効果により大きな利益を得ていくことができます。
複利効果とは、元本に利息を加えたものが新たな元本になって、再投資されていくことで雪だるま式に元本が膨らんでいく効果のことです。
ソーシャルレンディングでも投資信託でも、得られた利益を再投資していくことで複利効果を得ることができます。複利効果については以下の記事で詳しく解説しています。

共通点⑤:元本保証ではない
元本保証とは、運用期間のすべてにおいて元本割れが怒らないことを保証することです。ソーシャルレンディングも投資信託も元本保証の投資商品ではないため、損失が出て元本の一部が失われてしまうことがあります。
具体的には、ソーシャルレンディングでは借り手企業が返済できなくなってしまい貸し倒れが起こると元本の一部もしくはすべてを失ってしまいます。
投資信託では運用がうまくいかず赤字になってしまうと元本割れが起こってしまいます。
まとめ
ソーシャルレンディングは私たち投資家がソーシャルレンディング事業者を介して企業にお金を貸すことができるサービスです。
一方、投資信託は運用の専門家が投資家からお金を集めて株式や債権などに投資して運用する投資商品です。
ソーシャルレンディングと投資信託には以下のような違いがあります。
ソーシャルレンディング | 投資信託 | |
---|---|---|
好きな時にお金を引き出せるかどうか | 引き出せない | 引き出せる |
選択肢の数 | 少なめ | 多め |
税金 | 不遇 | 優遇されている |
手数料 | かからない | かかる |
利回り | 5~10%程度 | 2~5%程度 |
利回り変動リスク | ない | ある |
売却の判断 | 必要ない | 必要 |
事業者リスク | 高め | 低め |
しかし、以下のような共通点もあります。
- 少額から投資できる
- 簡単に投資できる
- ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
- 長期的な投資に向いてる
- 元本保証ではない
24の数値化可能な指標を用いてソーシャルレンディング38事業者のランキングを作成しました。
順位 | 事業者名 | 公式 | 利回り | 信頼性 | 投資しやすさ |
---|---|---|---|---|---|
1位 | クラウドバンク | 6.99% | |||
2位 | SBIソーシャルレンディング | 3.82% | |||
3位 | SAMURAI FUND | 7.30% | |||
4位 | オーナーズブック | 4.76% | |||
5位 | クラウドクレジット | 8.91% |